【プロキオンS】GⅠを勝つ素質を持つ実力馬 京大競馬研の本命はサンライズジパング

京都大学競馬研究会

同条件のチャンピオンズC4角7番手以内の成績

ⒸSPAIA

先を見据えた一戦

1月26日(日)にプロキオンステークス(GⅡ)が行われる。昨年までの東海ステークスが今年からプロキオンSに名称を変更。フェブラリーSの前哨戦として開催されることになった。

“ダート歴代最高”と名高い現4歳世代からサンライズジパング、サトノエピック、今回と同舞台のチャンピオンズCで2年連続3着ドゥラエレーデ、同じく中京で行われたシリウスSで僅差2着だったオメガギネスなど多くの実力馬が揃った。

以下では、本レースが行われる中京ダート1800mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

好走には内ラチ沿いを走ること重要

まずは中京ダート1800mのコース形態をみる。ホームストレッチ真ん中よりやや左寄りからスタート。ほぼ平坦な1~2コーナーを回ると、バックストレッチ半ばまで緩やかな上り坂で、そこから3~4コーナーにかけて全て下り坂。また3~4コーナーはスパイラルカーブとなっている。

最後の直線は410.7m。JRAダートでは東京競馬場に次いで2番目に長い。ゴール手前380m地点から220m地点にかけては中山ダートに次いで傾斜がきつい高低差1.8mの急な上り坂。ラスト220mは平坦な直線だ。コーナー4回、坂3回という全体を通してタフなコースレイアウトとなっている。

まず注目すべきは初角までの距離が短いこと。序盤の先手争いは長引きにくく、ペースは上がりにくい。またポジション争いでは内枠の馬が有利だ。その後も平坦な1、2コーナーから緩やかな上り坂となる向正面半ばまでペースは上がりにくい。

ペースアップするのは3コーナー入り口から。ここから最後の直線半ばまで全て下り坂となるため、序盤、中盤で脚を溜めた先行勢が一気に加速していく。直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくい。加えて3、4コーナーは下り坂かつ急カーブとなっているため、このポジション差を無理に外からマクって埋めに行くと、すごく大きなロスが生まれる。

さらに4コーナーはスパイラルカーブとなっているため、先行勢がスピードに乗ったまま直線に向かうと馬群が一気に広がり、この先行勢のさらに外を回す後方勢はこれだけでもかなり厳しい競馬となる。3、4コーナーで無理に外から位置を上げようとした後方勢はさら厳しく、その時点でほぼノーチャンスと言っていい。

直線も半ばで急な上り坂があり、それを登り切った後も平坦な直線が続くタフなコース形態。全馬終盤の脚色は鈍り、上がりに差が生まれにくい。したがって序盤、中盤で積極的に前に位置を取り、出来るだけ内ラチ沿い走れる器用な先行馬が恵まれやすいというのが、このコースが持つレースの質だ。

チャンピオンズCの4角7番手以内馬成績,ⒸSPAIA


<チャンピオンズC における4角7番手以内馬の成績(過去10年)>
【7-5-8-59】勝率8.9%、連対率15.2%、複勝率25.3%、単勝回収率120%、複勝回収率114%

この傾向は数字にも表れている。同舞台であるチャンピオンズCのデータを参照すると、 4角7番手以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。馬券内となった30頭中20頭を占めている。

また、その中でも1~4枠の馬に絞れば【5-2-5-28】勝率12.5%、連対率17.5%、複勝率30.0%、単勝回収率195%、複勝回収率123%とさらに数字は上昇する。

ただ、補足しなければいけないのは、フェブラリーSの前哨戦である本レースはチャンピオンズCと同様、国内ダートの上級条件であるということ。

ダート戦は基本的に先行有利なため、上級条件には先行して結果を残してきた実力馬が揃う。そのため、本コースが先行有利といっても、上級条件に限れば圧倒的に有利というほどでもない。

むしろ、先行有利なダートで差して結果を出し、ここに出走してくる馬の方が高い地力を持っているともいえる。重要なのは脚質以上に、内ラチ沿いを走れるかどうか。ペース次第では道中内で脚を溜めた差し馬にもチャンスはある。それが過去10年で4角8番手以下から馬券内に入った10頭の好走パターンだ。

今回のメンバーで先行馬が揃っていても、差し馬の好走が可能かどうか。次の章で考察していく。

前目に位置取り、道中内で脚を溜められる馬が狙い目

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が3頭、出走馬全16頭に対して多くない。

ただ、近2走に先行経験がある馬は8頭おり、それなりにテンが速い。序盤のペースが上がりにくいコース形態とはいえ、ある程度ペースは流れることが想定される。

この展開で恵まれるのは、前目に位置を取り、道中内で脚を溜めて速い上がりを使える馬。次に内前をロスなく立ち回る地力の高い先行馬だ。速い上がりを使える馬が有利な展開と予想されるものの、前述の通り最後方から一気に差し切るのは至難の業。道中で内前に位置を取ることが重要だ。

外からマクっていく機動力よりも、道中内で砂を被りながら追走しても物怖じしないタフさを重視して印を打っていく。

世代屈指の実力馬

◎サンライズジパング
非常にハイレベルな現4歳世代の中でも屈指の実力馬だ。前走チャンピオンズCは超内有利の展開で終始外を回し続ける厳しい競馬も0.5秒差6着。スパイラルカーブで強引に外からマクっていくのはどれだけ強い馬でも難しい。

そのため直線急坂では完全に脚が止まり、持ち前の末脚が全く発揮されなかった。ただその中でも大きく負けておらず、展開が向けば国内GⅠを余裕で勝てるポテンシャルを秘めている。

2走前のみやこSは初の古馬との対決で終始外を回される厳しい競馬の中、上がり最速の脚を使って完勝。3走前のジャパンダートクラシックはフォーエバーヤング、ミッキーファイトに負けはしたものの1.2秒差3着と能力の高さを示した。

今回は前走と同コースであるものの、前回(12番)より少し内目の9番枠に入ったことに加え、内の先行馬の並び、先行意識の高い坂井瑠星騎手への乗り替わりを考えれば、前走のように絶望的な競馬になるリスクは低い。

この点で、チャンピオンズCで展開が向いて好走したドゥラエレーデを今回は逆転可能とみる。前目に位置を取り、道中内目で脚を溜め、直線で内から抜け出す形で持ち前の持続する末脚を発揮できれば勝ち負け必至とみる。また前走の敗戦でオッズ妙味も見込める。

◯ドゥラエレーデ
前走チャンピオンズCは内有利の展開で終始内ラチ沿いを追走する完璧な騎乗。そのため0.3秒差3着は素直に評価できる内容ではなかった。

しかし2年連続チャンピオンズCで3着に好走する地力の高さに加え、内で我慢して立ち回れる中京向きの器用さとレースセンスを持ち合わせている。

今回は過剰人気も想定されるが、2枠3番と持ち前の器用さを生かせる枠に入り、順当に能力を発揮すれば好走するとみる。

▲オメガギネス
前走みやこSは内有利の展開で終始外を回されるロスが厳しく、2.2秒差の10着に敗れた。ただそのため完全に度外視可能な敗戦とみる。

2走前のシリウスSはチャンピオンズC4着馬ハギノアレグリアスと中京で0.2秒差2着。今回のメンバーでも上位の能力を持つ。今回はやや外枠に入ったものの、テンの速さから好位を追走できそう。2走前のような走りができれば好走可能。前走の敗戦でオッズ妙味もある。

△サンデーファンデー
揉まれやすい1枠に入ったが、今回のメンバーでは最上位のテンの速さがあり、スタートを決めてハナを切ることができれば十分に残るだけの地力はある。

×ディープリボーン
砂被りNGのため、やや外目の枠も本馬にはプラス。先行する形なら。

×タマモロック
近2走はどちらも着順、着差以上に評価できる内容。高いオッズ妙味が予想される。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△×馬連5点、◎-◯▲△-▲△×3連複9点で勝負する。(花田)

▽プロキオンS予想▽
◎サンライズジパング
◯ドゥラエレーデ
▲オメガギネス
△サンデーファンデー
×ディープリボーン
×タマモロック

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


《関連記事》
【プロキオンS】データからの注目は「前走1番人気」 唯一の該当馬オメガギネスが最有力
【プロキオンS】5歳の重賞組ドゥラエレーデ、カズペトシーンを評価 人気薄なら”冬の大三角”経由のサンデーファンデー
【プロキオンS】特別登録馬一覧

おすすめ記事