【AJCC】ダービー馬ダノンデサイルが始動 データからは複勝率62.5%の中日新聞杯組が見逃せない

三木俊幸

ダノンデサイル,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

参考レース振り返り

冬の中山開催を締めくくる一戦でもあるアメリカジョッキークラブカップ(GⅡ・芝2200m)。昨年のダービー馬ダノンデサイルが注目を集めるなか、21頭が登録。ここでは過去10年のデータとともに、主な参考レースを振り返る。

中山芝コースは今週でCコース3週目となる。先週末のレースはペース次第で差しも届いていたが、先行して直線は内目を通った馬の好走が目立っていたということは頭に入れておきたい。


中日新聞杯【データ:A メンバーレベル:A】

過去10年の成績【1-1-3-3】勝率12.5%、連対率25.0%、複勝率62.5%

レースはデシエルトが前半1000m58.8というペースを刻み、縦長の隊列で流れた。直線に向いても脚色が鈍ることはなく、勝ちタイム1:58.4でそのまま逃げ切った。

3着マテンロウレオはハンデ58.5kgを背負っての出走。道中は中団のインを追走し、直線もスムーズに間を割って伸びた。勝ち馬からは0.4秒離されたが、内容としては良かったと言えるだろう。

6着コスモキュランダはスタートひと息で、序盤は後方から運ぶ形となった。向正面でポジションを押し上げて4角では5番手の外目につけるも、早めに脚を使ったことが響いて最後は後続にかわされてしまった。中日新聞杯ではこの戦法がはまらなかったが、中山コースは最も得意とする舞台で、前進があってもいい。

9着エヒトは前走サウジアラビアからの休み明け初戦。2番手からレースを進めたが、先行勢にとっては流れが向かなかった。AJCCは2023年に2着と相性は良く、ひと叩きされての上積みもあるだろう。


菊花賞【データ:A メンバーレベル:B】

過去10年の成績【1-3-0-6】勝率10.0%、連対率40.0%、複勝率40.0%

1000m通過1:02.0という遅いペースとなって、1周目スタンド前ではメイショウタバルがハナを奪うも、その後は2角でピースワンデュック、2周目3角でシュバルツクーゲルと先行争いの入れ替わりが激しい展開となった。

それらを見ながら中団を追走していたアーバンシックが最後の直線で外から伸び、後続に2馬身半差をつけてGⅠ初制覇。勝ちタイムは3:04.1での決着だった。

ビザンチンドリームは道中後方から4〜5番手のインを追走。勝負所の2周目4角では中団までポジションを押し上げ、直線は外へと持ち出されると、上がり最速となる35.4の末脚で前へと迫り、2着ヘデントールとは0.1秒差の5着という結果だった。

乗り難しいタイプではあるが、長丁場でも能力を発揮してみせた。2月にサウジアラビアで行われるレッドシーターフハンデキャップの招待を受諾しているが、まずは好メンバーがそろった今回どこまでやれるか試金石の一戦となる。

天皇賞(秋)【データ:B メンバーレベル:A】

過去10年の成績【1-0-0-3】勝率25.0%、連対率25.0%、複勝率25.0%

ホウオウビスケッツが逃げるも、1000m通過が59.9と落ち着いた流れとなった。直線に向いてもしぶとく粘っていたが、後方2番手を追走していたドウデュースが大外から上がり32.5の末脚で豪快に差し切り。勝ちタイムは1:57.3。1馬身1/4差の2着には好位から運んだタスティエーラが入った。

3番人気に支持されたレーベンスティールは中団の外を追走。自身も上がり33.2の末脚を使ったが、トップクラスが集まるなかでの瞬発力勝負では分が悪く、勝ち馬から0.5秒差の8着に終わった。今回はセントライト記念、オールカマーと重賞2勝をあげている得意の舞台に戻る。しっかりと結果を残したいところだ。

ニシノレヴナントは大外枠から行き脚がつかず、最後方から運んだ。ドウデュースに次ぐ上がり33.0の末脚を使うも0.7秒差の10着。脚質的に他力本願のレースとなることが多いが、GⅠでの経験をプラスに少しでも上位の着順を目指したい。


チャレンジC【データ:B メンバーレベル:C】

過去10年の成績【0-3-0-4】勝率0.0%、連対率42.9%、複勝率42.9%

外枠から勢いよくハナを奪ったアウスヴァールが逃げるも、向正面に入るとバビットとルペルカーリアも接近し、前3頭が並んで1000mを58.4で通過した。

馬群が一団となって直線を迎えたが、中団にいたラヴェルが残り200mで前を捉え、勝ちタイム1:58.2で完勝。エリザベス女王杯でも2着となった力を見せつけた。

1馬身3/4差の2着に入ったのがディープモンスター。後方4番手を追走し、直線は大外から伸びた。重賞でもあと一歩及ばないというレースが続くが、堅実な走りを披露している。

4着はボルドグフーシュ。1年半以上の休み明けで勝ち馬からは0.9秒離されたが、勝負所の3〜4角では大外を回すロスがあったということも考慮すると悲観する内容ではなかった。3歳時の2022年に菊花賞と有馬記念で2着となるなど能力は高く、ひと叩きされての距離延長で上位争いを期待したい。


有馬記念【データ:C メンバーレベル:A】

過去10年の成績【1-0-0-8】勝率11.1%、連対率11.1%、複勝率11.1%

ベラジオオペラとの先行争いを内から制して、レースの主導権を握ったのはダノンデサイルだった。序盤から12秒台のラップが続き、900m〜1100mまでは13.3とさらにペースが落ちて超スローペース。各馬一団となって勝負所に差しかかる。

最後の直線は好位で足を溜めていたレガレイラと、中団から外を回して伸びたシャフリヤールが馬体を併せての追い比べとなったが、ハナ差で3歳牝馬のレガレイラに軍配。勝ちタイムは2:31.8だった。

ダノンデサイルはうまくマイペースに落とすと最後までしぶとく粘り、0.2秒差の3着。好走したものの、陣営からは昨春と比べて重苦しさがあったとのこと。今回は初めての中3週での出走、そして戸崎圭太騎手への乗り替わり。また違った一面を見せつつ、結果を残すことが期待される。


■エリザベス女王杯【データ:C メンバーレベル:B】
過去10年の成績【0-0-0-3】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%

コンクシェルが1000m通過59.6というペースで、後続を3馬身ほど引き離しての逃げ。4番手から勝負所で前との差をつめたスタニングローズが直線早め先頭から押し切って勝利。勝ちタイムは2:11.1だった。

2番ゲートからスタートしたライラックは中団のインで脚を溜める競馬。直線はスムーズに馬群を割って、上がり最速タイの33.9の末脚で伸びた。6着という結果に終わったが、2着ラヴェルとは0.1秒差、3着ホールネスとはタイム差なし。力は出し切ったと言える内容だった。

中山コースは【1-0-1-2】という成績だが、2023年の有馬記念を除くと3戦全てで4着以内。距離こそ違うものの、3歳時にはフェアリーSを勝利するなど舞台は合う。

ライラック,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


コスタボニータは6番手の外を追走し、直線はジリジリと伸びたが9着という結果だった。AJCCにも登録があるが、土曜日に行われる小倉牝馬Sに出走する可能性が高そうだ。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

《関連記事》
【AJCC】「前走重賞5着内の6歳」は複勝率50%超 “最強世代”ボルドグフーシュ、マテンロウレオらは申し分なし
東大HCが中山巧者を徹底検証 シルバーステート産駒が芝・内枠で高い回収率、M.デムーロ騎手は道悪◎
【AJCC】過去10年のレースデータ

おすすめ記事