【シルクロードS】先行馬が輝く舞台、本命は芝で上昇中のカピリナ 対抗ピューロマジック、クファシルも要注目

山崎エリカ

2025年シルクロードステークスのPP指数,ⒸSPAIA

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今年は1回京都2日目開催に

京都芝1200mは向正面の半ばからスタートし、3角の頂上を目指すコース。そのため前半はペースが上がりにくく、前後半のラップ差が小さい平均ペースが発生しやすい。

芝1200m戦全体としては、ハイペースになることが大半なので、平均ペースだと前から押し切りやすい。京都開催だった直近10回では、逃げ馬が2着4回と目立っている。

しかし、最も活躍しているのは先行馬で1着7回、2着2回、3着3回。逃げ馬を見ながら動ける先行馬に有利な舞台となっている。

また、昨年までこのレースは連続開催となる2回京都開催かつBコース2~4日目で行われていたが、今年は開幕週の1回京都2日目に行われる。2024年は10月から3開催連続で京都を使われていたが、Aコースが使われていたのは10月末まで。12月の後半5日はDコースが使用されていた。

今開催から久々にAコースに変わることで雨予報であっても高速馬場が予想され、例年のように逃げ先行馬が有利になると見ている。当然、外枠よりロスなく立ち回れる内枠がいいだろう。

能力値1~5位の紹介

2025年シルクロードステークスのPP指数一覧,ⒸSPAIA


【能力値1位タイ ソンシ】
重馬場かつ出遅れた5走前の瀬田特別(2勝クラス)こそ崩れたものの、それを除けば複勝率100%という実力馬。前走はリステッドの淀短距離Sを勝利している。

その前走は2番枠からまずまずのスタートを切り、軽く促して好位の内目から進めていたが、ペースが上がらなかったので中目に誘導してほぼ馬なりで進出した。

3~4角で外目に誘導し、4角出口で先頭のグランテストに並びかけて直線へ。序盤でしぶとく粘る同馬を捉え、半馬身ほど前に出て突き放す。最後はバルサムノートにやや差を詰められたが、1馬身半差で完勝した。

前走時はタフな芝ではあったが、前有利の展開に恵まれた面はあった。しかし、初の芝1200m戦となった2走前のタンザナイトSでは促しても前の位置が取れず、中団中目からの追走となったことを踏まえると、好位を取れたことは収穫だ。

今回のメンバーだと好位を取れない可能性が高いが、3走前の白秋S(3勝クラス)では中団あたりから進めて好指数で勝利。差し競馬でも問題ない。

2走前で2着に敗れたのは、スローの上がり勝負のなかやや折り合いに苦労して下げ切って立て直したことや、3~4角で中団馬群に包まれ、最後の直線で仕掛けが遅れたことが影響している。

今回は開幕週のAコース使用で、内有利が予想されるなか16番枠と外枠を引いてしまったが、重い印を打ちたい。

【能力値1位タイ ウインカーネリアン】
2022年に芝1600mの谷川岳S、米子S、関屋記念を3連勝した馬。一昨年の東京新聞杯では逃げ切り勝ち、昨年の東京新聞杯でも逃げて2着に粘った。

マイル路線で活躍してきたが、昨年の高松宮記念(重馬場)で初めての芝1200mに出走すると、序盤でビクターザウィナーに絡みながら、最終的には2番手に控える競馬で4着と善戦。そして、再びの1200m戦となった前走の京阪杯でも2着と健闘した。

前走は1番枠から好スタートを切り、かなり押して同型馬を制して主導権を握る。道中もペースを落とさず3~4角は最内を通し、4角出口で馬場の良い外に誘導した。

直線序盤で追われてリードは3/4差。ラスト1Fでも踏ん張っていたが、最後にビッグシーザーに差されてクビ差で敗戦。それでも3着馬には1馬身3/4差と後続を完封している。

本馬はキレる脚がなく、前に行って持久力を生かしてこその馬。前走はテイエムスパーダやチェイスザドリームなど同型馬が多数出走しており、1番枠であっても序盤からかなり押していかないとハナを切るのは難しいと見ていたが、実際、相当に押していた。

今回はテンの速いピューロマジックがおり、同馬よりも外枠となると逃げられないだろう。2番手に控えてもやれる馬だけにその点は問題ないが、前走で自己ベストタイの指数を記録し、そこからの休養明けになることは懸念材料である。あくまでも目標は次走の高松宮記念だろう。

【能力値3位 カピリナ】
デビューからしばらくダート路線を使われていたが、4走前から芝路線に転向して上昇した馬。休養明けとなる2走前の清津狭特別(2勝クラス)で馬体重14kg増の成長した姿を見せ、勝利を飾った。

清津狭特別では5番枠から五分のスタートを切り、初速の違いですっとハナを取り切る。そこからコントロールして内の馬を行かせて2番手で3角へ。3~4角の外目から楽に先頭へ立つと、序盤ですっと抜け出して1馬身半差。ラスト1Fで突き放し4馬身差で圧勝した。

昇級戦となる前走の南総Sも勝利。ここでは1番枠からスタート後に躓いて後手を踏んだが、内枠だったこともあり好位馬群の中目に突っ込んでコントロール。3~4角で包まれ、直線序盤では捌くのに苦労しながらも2列目に上がり、ラスト1Fで捌ききるとグンと伸びて1馬身3/4差で完勝した。

前走は5回中山2日目の異様な高速馬場ではあったが、前半3F32秒9の流れを後手に回りながら挽回し、最後にしっかり伸びた点は高評価できる。

ダートデビューの芝馬はその後の上昇力が大きく、ピューロマジックがある程度ペースを引き上げる展開を先行できそうな点も好ましい。ここは本命候補だ。

【能力値4位 ピューロマジック】
昨夏の北九州記念覇者。ここでは12番枠からまずまずのスタートだったが、初速の違いで内に切れ込みながら同型馬を制し、そのままペースを緩めずに3角へ。3~4角は最内を通って2馬身差を維持する。直線序盤ではヨシノイースターに1馬身3/4差まで詰められ、ラスト1Fでさらに迫られたが、しぶとく踏ん張って半馬身差で振り切った。

この日は時計の掛かる稍重馬場かつ強風のため、ハイペースで逃げ切るのは難しい状況だったが、前後半3F32秒3-35秒6で逃げ切り勝ち。斤量53kgを考慮しても強い内容だった。

本馬は押さえると掛かる面があり、前走のスプリンターズSは押さえずに暴走ペースで逃げてしまい8着に失速。しかし、前半が上り坂の京都なら前半32秒台のペースでは飛ばせないため、逃げて上位争いに加われると見て対抗に推す。

【能力値5位 ペアポルックス】
昨年の葵Sではピューロマジックをマークしながら2番手でレースを進め、同馬の2着に完敗。しかしその後は地道に地力をつけ、前走リステッドのラピスラズリSを勝利した。

その前走は逃げ馬が不在。9番枠から五分のスタートだったが、かなり押した結果、勢いがついてハナを取る形となる。道中はコントロールし、3角でも手綱を抑えて4角出口で仕掛けると、2番手とは1馬身1/4差。直線序盤でリードを広げると、ラスト1Fで外から伸びてきたナナオを振り切って3/4差で勝利した。

本馬は3走前のオパールSで戦列復帰。その後は出遅れ続きだったが、前走で何とかスタートを決められたのは収穫だった。

また、前走は上述のカピリナが勝利した南総Sと同日で異様な高速馬場。前半3Fは南総Sよりも遅い33秒7のスローペースだったが、逃げて後半3Fも33秒5でまとめ、指数もカピリナと同等のものを記録したことは評価できる。

ただし、今回はテンの速いピューロマジックの内枠。近走は後手に回ることが多いだけに、外から被され、3~4角で包まれて最後の直線で進路取りが難しくなってしまうリスクがある。


穴候補は芝1200mで上昇一途のクファシル

クファシルは4走前の函館芝1200m・1勝クラスで長期骨折明けから復帰。以降、上昇の一途をたどっている。

前走は京都芝1200mの醍醐S(3勝クラス)を勝利。8番枠から出遅れ、押すも序盤は後方3番手からとなったが、徐々に位置を上げ、逃げるウォータールグランから離れた3列目の外付近で3角へ。3~4角では2頭分外から同馬との差をじわっと詰め、直線序盤で外に誘導される。

直線でしぶとく伸びて3番手に上がると、ラスト1Fで先に抜け出したタガノシャーンスとの追い比べを半馬身差で制した。さらに3着馬には3馬身半差をつけており、オープン通用レベルの指数を記録しての勝利だった。

本馬は新馬戦で騎乗したR.ムーア騎手の進言でスプリント路線を使われるようになったようで、4走前に復帰してからは芝1200mで底を見せていない。3カ月の休養明けとなる今回、中間の追い切りで目立つ動きを見せていたこともあって想定以上の人気だが、重賞のここでも通用の余地は十分にある。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ソンシの前走指数「-22」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.2秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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