【シルクロードS】ビッグシーザー、ウインカーネリアンに割引データ ピューロマジックは京都なら一変
勝木淳
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後半勝負のスプリント戦
芝1200mはJRAでは9つの競馬場で行われる。これを簡単に分類すると、前半が速い前傾コースと後半が速い後傾コースにわけられる。3コーナーまで距離があり、さらに前半に下り区間がある中山、小倉は前傾コースの代表格だ。
その対極にあるのが3コーナーまで距離がなく、前半に上り区間がある京都。後半の4コーナーで下る京都は1200m戦でも上がり勝負になりやすい。中山や小倉でみられる上がりがかかるのを待つ「展開待ち」は通じない。そして、この後傾の構造は中京にも当てはまる。
緩やかな上りから一気に下る中京は後半勝負も多く、高松宮記念も例外ではない。中京が現在のコース形態になった2012年以降、前走シルクロードSは【5-3-2-29】勝率12.8%、複勝率25.6%で阪急杯、オーシャンSを上回る。コースのつながりも深い前哨戦として注目の一戦だ。データは21~23年中京を含め、過去10年間を使用する。
1番人気は【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%。有力ステップではありつつ、やはり実力差を縮めるハンデ戦らしく、ひとひねりは必要だ。といいつつ、2番人気【5-0-1-4】勝率50.0%、複勝率60.0%など勝ち馬は4番人気以内から。
だが、10番人気以下【0-2-4-73】複勝率7.6%など2、3着は油断ならない。ハンデ戦であることを忘れず、隅々まで馬券検討しよう。
年齢の傾向はもう少しくっきりしており、4歳が【5-2-3-22】勝率15.6%、複勝率31.3%と目立つ。ペースがあがりにくいとはいえ、スピード勝負のスプリント戦では若さは武器になる。
一方で6歳も【3-3-3-34】勝率7.0%、複勝率20.9%と奮闘。複勝回収率が115%と高く、複穴は6歳から出現する。
京阪杯1、2着好走なし
4歳はソンシ、ピューロマジック、ペアポルックス、セントメモリーズらスピード自慢がそろう。実績でいえば、5歳ビッグシーザー、8歳ウインカーネリアン。この2頭のハンデを基準に各馬のハンデが決まっていく。
4歳の前走クラス別をみると、GⅠ【2-0-1-5】勝率25.0%、複勝率37.5%、GⅢ【3-0-0-4】勝率、複勝率42.9%と前走重賞組が中心。重賞5着以内【5-0-0-4】、6着以下【0-0-1-7】で重賞好走馬が狙い。今年は好走組がいないのが悩みどころだ。
前走OP/Lは【0-1-0-8】複勝率11.1%と低く、4歳は勢いではなく格。ラピスラズリSを勝ったペアポルックスはオパールS3着と京都で結果を残しており、人気になりそうだが、データ上強く推せない。
前走3勝クラスは【0-1-2-3】複勝率50.0%で勝てはしないが、好走はする。奥多摩Sを勝ったセントメモリーズ、南総Sを勝ったカピリナは相手に入れておこう。ちなみに前走3勝クラスは1200m1着【0-1-2-1】、短縮1着【0-0-0-2】なので買うならカピリナだ。
5歳以上の前走クラス別はGⅠ【1-1-0-10】勝率8.3%、複勝率16.7%とイマイチも、GⅡが【2-1-2-7】勝率16.7%、複勝率41.7%と相性がいい。
内訳では阪神C【2-1-0-3】勝率33.3%、複勝率50.0%だが、上位2頭は高松宮記念直行で、残りは阪急杯へ向かう馬が多く該当馬不在。であれば京阪杯【1-2-0-15】勝率5.6%、複勝率16.7%だが、好走確率はグンと下がる。さらに1、2着は【0-0-0-3】と好走がなく、5着【1-1-0-0】など敗退組が巻き返す。
シルクロードSはハンデ戦のため直近で重賞好走だと斤量が重くなり、負けた馬は軽くなる。これが結果を左右するなら、前走連対のビッグシーザー、ウインカーネリアンは要注意だろう。
人気どころがデータから強調できず、4歳も強調できる馬が多くない。今年は予想以上に難しい。
ほかでは、スプリンターズS8着とデータでは少し厳しいピューロマジックも見直せる。京都【2-0-0-1】、北九州記念Vなど平坦で強く、急坂コースの中山、中京、阪神で【0-2-0-2】。坂に課題を残すスピード型だ。秋の大敗は坂が原因だろう。
京都なら一変する可能性を感じる。イレ込みなど精神面の不安定さを抱えていることから、休み明けはむしろプラス。ここを勝ち、急坂のある高松宮記念で嫌うというパターンは22年メイケイエールと同じだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
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