【根岸S】「前走カペラS2着以内」は連対率60.0% データで有力なのはクロジシジョーやフリームファクシら

勝木淳

過去10年のデータから見る根岸ステークス,ⒸSPAIA

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冬はダートの季節

冬の東京開催の幕が開く。最終日フェブラリーSへ向けて進む開催はダートが主役。冬空にダートはよく映える。砂塵を巻き起こし走るサラブレッドはさながら砂漠を疾走しているかのようで美しい。

フェブラリーS前哨戦にあたる根岸Sは2016~23年まで連続して本番に3着以内馬を送ってきた。だが、昨年このローテで挑んだのはわずか2頭と少なく、連続好走も途切れた。今年、大きく変わった番組編成のなかで、中2週の前哨戦は多くが改められ、中3週以上になるよう配置転換がなされた。だが、根岸Sは変わらず中2週。詰まった間隔をどう考えるか。

タフなダートの猛者たちにはぜひともここから本番に歩んでほしい。やはり前哨戦好走馬が顔をそろえるGⅠは予想のしがいがある。ここからは過去10年分のデータを使用して根岸Sの傾向を探っていく。

人気別成績,ⒸSPAIA


フェブラリーSの前哨戦でありつつ、貴重なダート1400m重賞でもある。残るは7月の東海S(今年から施行条件変更)しかなく、1400m巧者にとって本番以上にここにかける意気込みは大きい。そんな1400m狙いの人気馬は簡単には負けない。

人気別では、1番人気が【6-2-0-2】勝率60.0%、複勝率80.0%と強力で、2番人気も【1-2-4-3】勝率10.0%、複勝率70.0%と凡走が少ない。一方、目標はあくまでこの先のGⅠという状況から、6番人気【2-2-0-6】勝率20.0%、複勝率40.0%と中穴の奮闘もある。東京のなかでもダート1400mは波乱のイメージが強いコースだが、根岸Sは当てはまらない。基本的には6番人気以内で上位拮抗と考えていい。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢では4歳【3-2-2-11】勝率16.7%、複勝率38.9%、5歳【4-2-2-25】勝率12.1%、複勝率24.2%が確率ではリードも、出走頭数が多い6歳【3-3-3-31】勝率7.5%、複勝率22.5%も好走馬の数では負けていない。7歳以上も【0-3-3-60】複勝率9.1%と複勝圏内なら十分あり得る。数字上は4、5歳優勢も、実際は世代間の差はないに等しい。

カペラS2着以内なら買い

前走でJBCスプリントを勝った8歳タガノビューティー、1200、1400mなら強い6歳ドンフランキー、カペラS2着6歳クロジシジョーなどベテランが充実。5歳はコスタノヴァ、ロードフォンスなど経験が浅い馬が多い。重賞常連のベテラン勢を打ち破れるか。

前走競馬場別成績,ⒸSPAIA


前走競馬場別でみると、東京が【3-3-1-19】勝率11.5%、複勝率26.9%と目立つ。前年11月以来、2カ月ほど開催間隔がひらいており、頭数が少ないことも優位を後押ししているが、やはり他場とは一線を画す東京ダートはコース巧者を生みやすい。ダートでもスピードと上がりの速さがないと太刀打ちできず、力づくで押し切れないコースだ。このつながりはポイントだろう。

レースの内訳では、11月の武蔵野S【3-2-1-8】勝率21.4%、複勝率42.9%が優勢だが、今年は不在で悩ましい。

前走カペラS【2-1-0-18】勝率9.5%、複勝率14.3%もコースの親和性は感じないものの、好走馬は出す。要はスピードが大切で、短距離できっちり走れるかどうかは重要だ。前走カペラS1、2着は【2-1-0-2】連対率60.0%、同3着以下【0-0-0-15】(※ほか取消1頭)と好走が大前提。2着クロジシジョーは3歳時の端午S以来の1400m戦出走がどう出るか。

前走関西圏・距離別成績,ⒸSPAIA


次は前走が関西圏(中京/京都/阪神/小倉)だった組の出走のデータを確認する。同距離組は【1-2-5-30】勝率2.6%、複勝率21.1%と3着5頭なので軽く扱えないが、距離短縮組【3-1-3-14】勝率14.3%、複勝率33.3%に注目しよう。前走チャンピオンズCが【2-1-3-9】勝率13.3%、複勝率40.0%と高く、9着以内は【2-1-3-4】、10着以下だと【0-0-0-5】。16着スレイマンは厳しいか。

前走関西圏1400m・クラス別成績,ⒸSPAIA


3着を5頭も出している前走関西圏の1400m組について、クラス別成績をみる。OP・Lが【0-2-5-26】複勝率21.2%で3着5頭はすべてここ。さらに前走3着以内なら【0-2-5-14】で、4着以下だと【0-0-0-12】となる。前者に当てはまるのは、すばるS1、3着のフリームファクシとサトノルフィアン、ギャラクシーS1着アルファマムなど。上位人気候補も入っており、軸をここに置くのもありだ。

最後に、京都開催の2018年を除く前走JBCスプリント組は【0-1-0-3】複勝率25.0%とそこまで高くはない。開催競馬場によって距離が変わるレースであり、距離別では1400m【0-1-0-1】、1200m【0-0-0-2】となる。昨年の佐賀開催だったJBCスプリントは1400m。以前は東京巧者だったタガノビューティーは前走を勝ち、再浮上するだろうか。

過去10年のデータから見る根岸S,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。

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