【シルクロードS】短距離ハンデ重賞では前走リステッド勝ち馬が不振 京大競馬研の本命はピューロマジック

京都大学競馬研究会

芝1400m以下の古馬重賞における前走クラス別複勝率

ⒸSPAIA

昇級馬の成績は並、前走リステッド組の成績が悪い

2月2日(日)に京都競馬場でシルクロードS(GⅢ)が行われる。淀短距離Sを勝って臨むソンシや重賞2勝のウインカーネリアン、ピューロマジック、条件戦を連勝しているカピリナやセントメモリーズなど17頭が集まった。

ハンデ戦ながら高松宮記念の好走馬を輩出する出世レースとなっており、今年もここから頂点まで駆け上がる馬がいるかもしれない。条件戦上がりの馬にとっては軽ハンデも魅力の一つとなっており、今年は例年にもまして条件戦を連勝した馬が多い。そこで今回は馬の「勢い」に注目するデータを用意した。

芝1400m以下の古馬重賞の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


過去10年の芝短距離(1400m以下)古馬重賞における前走クラス別成績を調べた。ダート重賞における昇級馬の成績を調べたことがあった(後のGⅠ馬もつまずく昇級初戦 OP、Lの連対馬は成績良好)が、今回はそれの芝短距離版となる。

まず前走3勝クラス組の成績は【9-15-14-143】の複勝率21.0%。前走GⅠ【35-28-32-234】複勝率28.9%、前走GⅡ【19-23-19-222】複勝率21.6%と比較すると、あえて昇級馬を推す必要はないと思われる。そして前走リステッド組が【8-11-7-208】の複勝率11.1%と非常に悪い。

芝1400m以下の古馬ハンデ重賞の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


より今回の条件に近づけるため、芝短距離の古馬「ハンデ」重賞についても調べた。すると前走3勝クラス組の成績は【3-5-2-32】、このうち3勝クラスを勝って挑んだ馬は【2-3-2-23】複勝率23.3%であった。ただし単勝回収率は30%しかないため、人気どころをヒモで狙う程度に留めておきたい。

気になるのは前走リステッド組が【1-4-1-58】複勝率9.4%と先ほどよりも成績を落としている点だ。リステッド競走が始まった2019年以降、リステッドと短距離ハンデ重賞を連勝した例はなく、前走リステッド1着馬の好走は2023年北九州記念2着ママコチャしかない。同年のCBC賞ではマッドクールが1番人気を裏切っており、後のGⅠ馬であっても重ハンデを課せられての好走は厳しいことが分かる。並の馬ならなおさらだ。

ちなみにオープン(非リステッド)と短距離ハンデ重賞の連勝も2017年CBC賞(シャイニングレイ)以降ない。オープンを勝ってハンデを課せられる馬は避けた方がよさそうだ。

重賞を幾度も戦ってきた実績馬を中心に、軽ハンデの昇級馬を数頭おさえる馬券がセオリーになるだろう。

実績馬が少ない、厳しいペースを経験した馬も少ない

◎ピューロマジック
スプリンターズSでは前半32.1秒のハイペースな逃げを打った。結果はついてこなかったが0.5秒差なら頑張ったと言える。最後の直線に坂のないコースで4勝を挙げており、葵Sを勝った京都コースも当然合う。

今回は昇級馬、リステッド勝ち馬の中に前半32秒台のペースを経験した馬が少なく、ついて行けない馬も多数発生しそうだ。開幕週と内枠を生かして並の馬は全て打ち負かすことができると判断した。

◯ウインカーネリアン
京阪杯では前半33.7秒の逃げを打って2着。連続開催後半の京都芝でも内枠しか好走しないレースであり、展開と枠順の有利はあった。それでも逃げ先行で大崩れすることなく走っているため、ピューロマジックの作る展開に対応できればここでも戦えるだろう。前走3勝クラス、リステッド勝ちの馬を軽視した印を打つとなると、ピューロマジックと当馬以外に重い印を打てる馬がいない。

▲カピリナ
前走南総Sでは前半32.9秒のハイペースを5番手追走から突き抜けた。同日のラピスラズリSより勝ちタイムが上で、その勝ち馬ペアポルックス相手に牝馬の2kg減を差し引いても1kgの斤量有利を貰っており、ハンデに恵まれたと言える。外枠が厳しいため3番手止まりだが、連勝中の馬の中では一番強い。

△クファシル
4歳夏に短距離に転向してから崩れず走っている点は高評価。実績馬と比較するとどうしても下位の印しか打てないが、上がりの脚はあるため、対ピューロマジックという点では対応可能ではないだろうか。枠順も良く、ハンデ55kgも手頃だ。

×ペアポルックス
葵Sでピューロマジックの2着があるようにハイペースに対する適性はある。しかし前走を勝ったことでハンデを課されてしまうのが辛い。枠順が非常に良いため、データ上不振であっても押さえないといけない。

×ジャングロ
度重なる故障で能力が落ちた可能性は否めない。前走のダートは度外視で、得意の芝短距離に戻る今回、脚に問題がなければ案外やれてもおかしくない。

消ソンシ
淀短距離Sを勝ったものの、勝ち時計は平凡で前半のペースも34.5秒と非常にぬるいものだった。条件戦で勝った際も自身の前半3ハロンは35秒台止まりで、今回は追走に苦労しそうだ。枠順も8枠16番は最悪。枠が出る前から能力面で疑いを持っていたが、枠を見て確信を持って消しとする。厳しい条件の揃ったここでも好走できるようなら、向こう1年逆らえない存在になるだろう。

馬券はピューロマジックの単勝と馬連流し5点で勝負する。(文:福山)

シルクロードS 予想印
◎ピューロマジック
◯ウインカーネリアン
▲カピリナ
△クファシル
×ペアポルックス
×ジャングロ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
30年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。



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