【きさらぎ賞】複勝率54.5%「前走重賞4着以内」が中心 東スポ杯2歳S2着サトノシャイニングなど3頭に注目
勝木淳
ⒸSPAIA
きさらぎ賞の立ち位置
皐月賞への道のりは様々あるが、近年のトレンドはホープフルSから直行か京成杯、共同通信杯経由であり、きさらぎ賞は存在感が薄い。レース間隔を考えれば、共同通信杯とは1週違いであり、適度な間隔で悪くない。
京成杯と共同通信杯の間に位置するきさらぎ賞はなぜクラシックホースを送れないのか。きさらぎ賞からの臨戦で皐月賞を勝利したのは1986年以降で、ハクタイセイ(1990年)のみだ。
相性が悪いとなると、有力馬の陣営もそれを気にして、始動戦に選びにくくなる。生涯一度のクラシック挑戦にあたり、最適解を探すのは使命ともいえる。そして、有力馬の始動戦からクラシック出走に必要な賞金稼ぎの場となり、1勝馬中心の組み合わせに。レースレベルが下がれば、GⅠ出走を確定させても、GⅠにつながらなくなる。だからこそ、圧倒的な走りでレベルを引き上げる存在が待ち遠しい。
ここからは、過去10年分のデータを使用してきさらぎ賞をデータ分析していく。なお、2021~23年は中京2000mで施行されているため、今回はローテーションを中心に好走傾向を探る。
まずは人気別成績から。1番人気【4-1-2-3】勝率40.0%、複勝率70.0%、2番人気【1-4-2-3】勝率10.0%、複勝率70.0%、3番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%と手堅く、4番人気以内が8勝と上位人気が結果を残す。
京都芝1800mらしく瞬発力を問う流れが多く、確かな末脚がないと攻略できない。根拠がある人気馬は崩れにくい。例年、頭数が少ないのも特徴で、極端な人気薄は数自体が少ない。8番人気は【0-0-2-8】だが、好走した2頭は11、12頭立ての年だった。10頭立て以下では【0-0-0-7】。大穴のイメージはない。
キャリア別では、1戦【2-1-1-12】勝率12.5%、複勝率25.0%、2戦【3-3-2-14】勝率13.6%、複勝率36.4%など、3戦以内が好調。キャリアの浅い素質馬が一気に突破できる重賞だ。
ただし、複勝率なら4、5戦組も引けをとらず、3戦以内ばかりをピックアップしても馬券は当たらない。キャリア5戦のウォーターガーベラはシンザン記念3着と実績十分。兄ウォーターリヒトは同じ道を歩み、6戦目のきさらぎ賞で10番人気2着と激走した。妹も同じ道をたどるのか。
なんだかんだと重賞好走馬
一方で新馬直後の参戦はエリカアンディーヴ。中心となる、東京スポーツ杯2歳S2着サトノシャイニングとの力関係はどれほどなのか。なんとも難しいところだ。
まずは1戦1勝馬から。ここでは前走での着差別成績に注目する。0.3~0.5秒差ときっちり差をつけて勝つと【2-0-0-3】勝率、複勝率40.0%で、0.1~0.2秒差は【0-1-0-5】複勝率16.7%、タイム差なし【0-0-1-3】複勝率25.0%。0.3秒以上の着差をつけるのが目安になる。
0.6~0.9秒差【0-0-0-1】を含め、着差をつけたからすべていいというわけではなく、着差が少なくても好走例はあるので、あくまで目安として考えてほしい。0.1秒差だったエリカアンディーヴは馬券から切れはしないが、序列をつけるなら、今年は重賞組が上か。
続いてキャリア2戦以上の馬を確認する。こちらは前走重賞組が【4-3-4-17】勝率14.3%、複勝率39.3%。4着以内だと【2-3-1-5】勝率18.2%、複勝率54.5%と素直に好走した馬が良い。サトノシャイニング、ミニトランザット、ウォーターガーベラは外せない。
だが、前走重賞6着以下も【2-0-2-12】勝率12.5%、複勝率25.0%と巻き返しもなくはない。ホープフルS7着ジェットマグナムも2走前はオープン1着。相手弱化のここで反転して不思議はない。
最後に前走1勝クラス【4-5-3-20】勝率12.5%、複勝率37.5%について(※競走中止1頭を除く)。ここは距離の傾向をみるため、京都で行われた7回のデータに絞る。
距離短縮組は【2-1-1-5】勝率22.2%、複勝率44.4%と目立つ。とはいえ、同距離組も【0-3-0-1】複勝率75.0%で好走確率ではむしろ上。距離延長組【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%がやや劣るので、前走距離は1800m以上を基準に検討しよう。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
《関連記事》
・【きさらぎ賞】特別登録馬一覧
・【注目2歳馬】雨の新馬戦をキズナ産駒サトノシャイニングがV 馬場も苦にせず上がり33.7の瞬発力を見せる
・【注目2歳馬】メンバー唯一の上がり34秒台で好タイムをマーク ヘンリーバローズ産駒ジェットマグナム
おすすめ記事