【弥生賞】“末脚の違い”見せられる馬に注目 デビューから上昇一途のジュタが本命候補、穴はアロヒアリイ
山崎エリカ

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狙いは“真ん中か、そのやや後ろ”
過去10年の弥生賞でややハイペースになったのは、逃げ馬が大逃げを打ってマカヒキの後方一気が決まった2016年のみ。反対にかなりのスローペースが5回ある。
昨年の勝ち馬コスモキュランダのように、向正面でマクって一発を狙う馬が出現して平均ペースまで上がる年もあるが、基本的にはトライアルらしくスローペースの傾向だ。
脚質別成績では差し馬が6勝。それらの大半は末脚の違いを見せつけた馬たち。2、3着馬を見ると先行馬も台頭してくるが、ここも中団あたりの馬が良く、真ん中かそれよりやや後ろから末脚を発揮する馬が活躍している。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 ミュージアムマイル】
昨年12月、京都芝1600mで行われた朝日杯FSで2着と好走。同レースでは4番枠から出遅れ、後方2番手からの追走となったが、内目のスペースを拾って一気に押し上げて3角は好位の最内につける。
4角は2列目内のスペースを拾って直線で外に誘導。序盤で3番手から2番手に上がったが、アドマイヤズームには突き離され、ラスト1Fで食らいつくも2馬身半差で完敗した。
前走は前後半4F48秒0-46秒1とマイル戦としてはペースが遅く、馬群が凝縮して横に広がっていったことで内のスペースが空いた。そこで位置取りを挽回できたことが好走につながった面もあるが、出遅れを一気に挽回しても最後までバテなかったのは地力があればこそ。後半ラスト2Fでアドマイヤズームに離されたのはトップスピードの差だろう。
出遅れ癖がありキレないタイプなので、距離が長くなるのは間違いなくいいはず。今回は始動戦で目標はこの先だが、2走前の黄菊賞(京都芝2000m)のように中団くらいで運んで3~4角から仕掛けていければ、上位争いに加われる可能性は高い。
【能力値2位 ジュタ】
デビュー2戦目のホープフルSで4着と善戦、続く若駒Sを勝利してここに臨む。
前走では9番枠から五分のスタートを切り、じわっと先行して好位の外を追走。向正面で外からミッキーゴールドがマクって一気にペースが上がったが、ワンテンポ待って同馬を追いかけ、4番手で3角を迎える。
3~4角でペースダウンすると中目から進出。しかし、4角で被されたため内へ。すると直線序盤は前3頭が壁になり、仕掛けを待たされてしまう。それでも中目を捌いて一気に抜け出すとラスト1Fで外のミッキーゴールドとの叩き合いを半馬身差で振り切った。
前走はラスト1Fで甘くなった。これは向正面半ばでマクリが発生したことで一気にペースアップし、ラスト2Fで先頭と早めに仕掛けた影響もあったとみている。
本馬はデビューから上昇一途。また、ホープフルSでも好位の中目で包まれた状況でコントロールされており、折り合い面に問題がないのは強み。もう一列下げても十分にやれそうなだけに、今回の本命候補だ。
【能力値3位 ナグルファル】
2戦2勝馬。前走のエリカ賞では2番枠からトップスタートを決めたが、外のイガッチを行かせてその外2番手に。3角手前の上り坂でペースが緩んだが、しっかりと折り合って1馬身3/4差ほど離れた位置で我慢した。
3~4角でも仕掛けを待ち、4角でペースが一気に上がったところで追われて先頭に並びかける。序盤ですっと伸びて抜け出し、1馬身ほど前に出ると、ラスト1Fでそのまま突き抜けて4馬身差で圧勝した。
本馬は前走と同舞台の新馬戦でハナへ行きたがっていたが、前走ではかなりのスローペースをしっかり折り合って勝利。折り合いに進境を見せたことが圧勝につながった。
前走は指数も大幅に上昇させ、ミュージアムマイルの前走に次ぐ指数を記録。今回はそこから休養させて成長を促しての一戦になる。
このメンバーでも実力上位だが、完成度の高い馬で大きな成長は期待しにくい。前走からいくらかでも成長していればチャンスがあるか、という評価になる。
【能力値4位 クラウディアイ】
デビュー2戦目、休養明けの京都2歳Sで3着と好走。ここでは5番枠から五分のスタートを切り、好位の中目を追走していたが、1角の入口で狭くなり、後方に下がった。道中は中団やや後方で折り合って進めた。
3~4角ではエリキングをマークしていたが、4角で同馬が動かず、その外を狙おうとしたところで外からジョバンニにフタをされてしまう。そこでは仕掛けを我慢し、直線序盤で追われて馬群を割って伸びると2列目に上がった。
ラスト1Fでも踏ん張っていたが、外のエリキングとジョバンニの2頭には突き抜けられ、2列後ろの3着までだった。
しかし、序盤の不利を挽回して3着に善戦したことは評価できる。また、2着馬ジョバンニは次走ホープフルSでも2着と健闘したように、ハイレベル戦でもあった。
本馬も前走はホープフルSで5着。ここでは休養明け好走の反動で指数を下げた。それでも捲って3着のファウストラーゼンと2馬身半差、4着ジュタとは1馬身半差と大崩れしなかったところに成長を感じる。ここで一発あっても不思議なく、侮れない一頭だ。
【能力値5位 ファウストラーゼン】
昨年暮れのホープフルSでは17番人気を覆しての3着。今回のメンバーでは最先着だ。
前走は11番枠からやや出遅れ、押して追走したが内と外から挟まれて最後方の外へ。接触したこともあって馬自身がひどく掛かり、コントロールに苦労して1角を迎えた。
向正面に入ると大外に誘導、一気にマクって先頭のジュンアサヒソラに並びかけて3角へ。3~4角もそのままの勢いでコーナーを回り、4角でジュンアサヒソラにプレッシャーをかけ、4角ではしっかり先頭を取り切った。
直線序盤はしぶとく踏ん張っていたが、外のクロワデュノールに並ばれるとラスト1Fでは甘くなり、最後はジョバンニにもかわされて3着だった。
前走は折り合いを欠いて無理なマクりのようにも見えたが、向正面で手が動いており、レース後のコメントからも最序盤の不利で最後方に下がってからの騎乗は意図的だったようだ。
向正面でペースが落ちたところで上手くマクれたことと、ブリンカー着用でレースに集中できるようになったのが好走の要因だろう。デビューからの2戦はレースでフラつくところもあったが、前走ではそれが解消されていた。
ただし、前走は消耗度の高いレースになっており、ここは余力面で不安が残る。
穴馬は前走に悔いが残るアロヒアリイ
アロヒアリイはキャリア2戦1勝、同舞台の1勝クラス戦2着からの臨戦となる。
東京芝2000mの新馬戦では1番枠から出遅れを挽回し、好位の中目からラスト1Fで後続に2馬身半差をつける完勝。その新馬戦の内容が評価され、前走は断然の1番人気(単勝1.6倍)に支持されたが2着に敗れた。
前走は11番枠から出遅れ、促して中団の外目まで挽回。道中は前2頭が競り合ってハイペースになったが、本馬は離れた中団でサトノラポールをマークする形で進めた。
3~4角で前が苦しくなり、一気にペースダウン。ここで中団中目から押して2列目まで上がったが、前のサトノラポールもやや減速したことで前が壁に。4角で外に誘導しようにもゴーソーファーにフタをされて動けず、ブレーキをかけながら4角出口でようやく外に誘導した。
直線序盤では3列目に上がり、ラスト1Fで前は捉えたが、4角で勢いに乗せて前に出られたゴーソーファーとの差を詰め切ることはできず。3/4馬身差で敗れた。
3~4角で外から仕掛けていれば本馬が勝っていた可能性も十分あった。ここでの巻き返しに期待したい。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ミュージアムマイルの前走指数「-15」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.5秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値 =(前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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