【スプリングS】複勝率66.7%の好データにマテンロウバローズ該当 「キャリア1戦」キングスコールに厳しいデータ

勝木淳

過去10年のデータから見るスプリングS,ⒸSPAIA

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理想は2戦2勝馬

クラシックは以前に増して早めに勝ち、本番に備える勝ち抜け戦的な要素が強い。いかに皐月賞に余裕をもって進めるか。それは次のダービーへつながるからでもある。

スプリングS経由で皐月賞、ダービーと進み、頂点に立ったのは2012年ディープブリランテが最後。同馬は3歳4戦目でダービーを勝った。たった13年前のことだが、近年では滅多にないローテーションだ。

スプリングSから3連勝で春二冠達成は11年オルフェーヴルが最後(※この時のスプリングSは阪神開催)。本番までもっとも間隔がないトライアル重賞はトライアル戦線終盤に権利を獲得したことを意味し、待ち受ける休養十分な実績馬と本番で互角の勝負を演じるのは簡単ではない。

しかし、それでもここを突破しないと皐月賞、ダービーへの道はあらわれない。残り少ない切符を競う、鬼気迫るトライアルは希望の道だ。出走しないことには勝つ機会はない。競馬は0も100もなく、多少ハンデがあったとしても、望みはある。データは過去10年分を使用する。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【2-3-2-3】勝率20.0%、複勝率70.0%と混戦のトライアル重賞であっても評価できる。

以下、2番人気【1-2-2-5】勝率10.0%、複勝率50.0%と人気順に信頼度が落ちていくが、5番人気に【3-1-0-6】勝率30.0%、複勝率40.0%とホットスポットが。人気ほど力の差はなく、上位6頭まではチャンス大。視野を広くして軸馬を探そう。

キャリア別成績,ⒸSPAIA


さすがにキャリア1戦は【0-0-0-4】と厳しい。もっとも人気に推された馬はおらず、そこまで高い素質を先物買いしたい馬も出ていない。

札幌の新馬以来、休養に入ったキングスコールはこのデータに当てはめていいのか。とはいえ、キャリア2戦目、休養明けでトライアル重賞はハードルが高い。

中心はマテンロウバローズ

キャリア別成績で最もいいのは【4-2-1-8】勝率26.7%、複勝率46.7%のキャリア2戦。前走1着なら【3-2-1-5】、2着も【1-0-0-1】なので、2連勝もしくは1勝2着1回の準パーフェクトが理想。マテンロウバローズは外せない。

もう一つの山が5戦【3-1-1-13】勝率16.7%、複勝率27.8%で、6戦以内がギリギリ好走ゾーンだ。

キャリア2~6戦・前走着順別成績,ⒸSPAIA


中心となる「キャリア2~6戦」のなかで、クラスに関係なく前走着順別を出すと、前走1着は【6-5-6-30】勝率12.8%、複勝率36.2%と好成績。2着も【2-2-2-12】勝率11.1%、複勝率33.3%で、好走した勢いと実績を重視したい。

着順の下限は4着【1-3-1-7】勝率8.3%、複勝率41.7%まで。5着以下は【0-0-1-22】だから、重賞とはいえ前走大敗のピコチャンブラック、ジェットマグナムは厳しいか。

キャリア2~6戦・前走1勝クラス1着・距離別成績,ⒸSPAIA


前走1着馬は1勝クラスからの臨戦【6-4-2-14】勝率23.1%、複勝率46.2%が目立つ。

その距離別成績をみると、同距離の1800mが【2-0-1-5】勝率25.0%、複勝率37.5%で、距離短縮も【2-3-0-7】勝率16.7%、複勝率41.7%と合格ラインだが、1800m未満からの距離延長組が【2-1-1-2】勝率33.3%、複勝率66.7%とさらに上昇する。中距離だがマイルでのスピード経験が武器になる。今年の特別登録馬ではマテンロウバローズが該当する。

キャリア2~6戦・前走2着・クラス別成績,ⒸSPAIA


では、「前走2着」のなかで好走するのはどんな馬か。ここは前走重賞【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%が優勢で、1勝クラスだと【0-1-1-6】複勝率25.0%となる。あすなろ賞2着ニホンピロデヴィンは展開のカギを握る一頭にもなりそうだが、データ上は分が悪い。

過去10年のデータから見るスプリングS,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

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