【東京新聞杯】距離短縮ボンドガールなど上位拮抗 注目は東京マイル連勝のウォーターリヒト
勝木淳
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上位拮抗、ハイレベルが定番に
ここ4年、東京新聞杯の決着時計は1分31秒台後半から32秒台前半ばかりで、前半800mも45秒後半から46秒前半と速くスローにならない。東京マイルでハイレベルになるのは、前半も後半も速いとき。スピードの持続力を問う形だ。
勝ち馬はサクラトゥジュールが今年の京都金杯を勝ち、カラテ、イルーシヴパンサーも重賞を制した。ウインカーネリアンは昨年の東京新聞杯2着、京阪杯2着でシルクロードSではトップハンデ。スピードの持続力は現代競馬では瞬発力以上に欠かせない。
前後半のペース差がなく、決着時計の速い東京新聞杯を勝てば、その先でも重賞戦線で活躍する。今年もラップ構成に注目だ。データは過去10年分を使用する。
ハイレベルであると同時に人気が割れるのも特徴で、1番人気【1-1-2-6】勝率10.0%、複勝率40.0%、2番人気【0-1-2-7】複勝率30.0%はイマイチ。しかし、3番人気【3-0-1-6】勝率30.0%、複勝率40.0%から5番人気【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%までが計8勝と、上位は人気ほど実力差がない。
7番人気以下もチラホラ好走するが、6番人気以内での決着が目立つ。人気が割れるとはいえ、東京マイルで恵まれた好走は多くなく、確固たる実力がなければ重賞では通用しない。
4歳【4-5-5-31】勝率8.9%、複勝率31.1%、5歳【2-2-4-31】勝率5.1%、複勝率20.5%、6歳【3-1-1-31】勝率8.3%、複勝率13.9%とほぼ横一線だ。
7歳以上も【1-2-0-27】勝率3.3%、複勝率10.0%と好走しており、年齢で評価するのは難しい。ベテランだからと評価を下げると当たりにたどり着かない。
割って入るならウォーターリヒト
とはいえボンドガール、ウォーターリヒト、オフトレイルと近況のいい4歳馬が多い。だが、格なら5歳ブレイディヴェーグだろう。
6歳ジュンブロッサムも昨秋に同舞台の富士Sを勝っており、連覇を狙う8歳サクラトゥジュールは京都金杯からの連勝を狙っている。今年も実力拮抗の一戦となりそうだ。
一方で前走3勝クラスも【4-1-0-7】勝率33.3%、複勝率41.7%と互角以上。真冬の重賞とあって、勢いが格をしのぐ場面もある。
ちなみに「4歳馬×前走3勝クラス」は【2-1-0-6】勝率22.2%、複勝率33.3%で、距離短縮に限ると【1-1-0-1】。1800mから転戦するオールナットは食い込むチャンスがある。
2000mでデビューし、徐々に距離を延ばして折り合いを学んだ。そこから距離を短くし、適距離へ戻すという戦歴は理にかなっており、残るは初出走のマイルへの対応だろう。
重賞組はざっくりレース内訳を見る。東京新聞杯と好相性のエリザベス女王杯組【2-1-1-1】が不在。マイルCS組は【2-0-1-11】勝率14.3%、複勝率21.4%と悪くはないが、凡走も多く、取捨が難しい。
マイルCS10着以下【2-0-0-7】など凡走後の巻き返しが目立ち、5着以内だった馬の出走はマイルCS3着のジャスティンカフェだけ。結果は2番人気12着だった。データを2000年以降に広げても、前走マイルCS5着以内は【0-0-0-6】。1番人気3頭、2番人気1頭で好走なしだ。
ボンドガールの前走秋華賞は【0-1-0-1】。22年ファインルージュが秋華賞2着から好走した。ボンドガールにとって2000mは少々距離が長く、短縮は歓迎のクチだ。一方で昨年マスクトディーヴァが同じく秋華賞2着から参戦し、6着。マスクトディーヴァにとって東京マイルはやや忙しかったのかもしれない。
秋戦線以来の休み明けもいいが、勢いなら1月の重賞出走【2-1-4-40】にも注目。着順別では5着以内【1-0-4-12】、6着以下【1-1-0-28】とやはり好走馬がいい。
京都金杯上位馬は相性も悪くない。勝ち馬のサクラトゥジュールはもちろんのこと、昨秋、この舞台で連勝したウォーターリヒトはキャピタルSで1分32秒3を記録した。負かしたトロヴァトーレは次走ニューイヤーS1着。ウォーターリヒトは3歳重賞3、2着の実力馬で、軌道に乗って一気に重賞タイトルに届くか。注目しよう。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
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